1 現状及び基本的な考え方
- 令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10 年法律第114 号。以下「感染症法」という。)上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、5類感染症に位置づけられた。
- 日常における基本的な感染対策については、個人の主体的な選択を尊重し、個人や事業者の判断に委ねることが基本である。
- 入院・外来については、限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関で対応する体制とする。
- 県では、オミクロン株や病原性が同程度のウイルスによる感染拡大時※に、迅速かつ的確な対応が可能となるよう、「長野県新型コロナウイルス感染症警戒・対策本部(以下、「警戒・対策本部」という。)」を設置するなど必要な体制を当面維持する。
- 位置づけ変更後の激変緩和措置として、相談機能や高齢者施設等における対応など必要な措置を当面継続する。
- 法令に基づく行動制限を伴った強い要請等は行わず、感染症法に基づく情報提供を行う。
※病原性が大きく異なる変異株の出現等により、感染症法上の位置づけが変更される場合には、様々な措置の再開を含め、ただちに必要な対応を実施する。
2 当面の対応
(1)医療・検査
受診相談
発熱等の症状がある場合には、かかりつけ医や身近な医療機関への相談を基本とし、受診・相談先に迷う場合等の相談先として、「受診・相談センター」を継続
入院
・9月末までに原則全ての病院等で受け入れる体制を目指し、入院医療体制を拡充
・患者の入院調整について、行政による調整から原則医療機関間での調整に移行
外来
・可能な限り全ての医療機関で対応する体制を目指し、診療時の感染対策の見直しや応招義務の周知等により、「外来対応医療機関」(従来の「診療・検査医療機関」)を拡充
・外来対応医療機関名等を当面公表
医療費の公費負担
治療に係る医療費(自己負担分)の一部について一定期間※1公費負担を継続
・外来:新型コロナ治療薬※2の費用の全額
・入院:原則2万円※3
※1 令和5年9月末(予定)まで
※2 抗ウイルス薬(ラゲブリオ、パキロビッド、ゾコーバ、ベクルリー)、中和抗体薬(ロナプリーブ、ゼビュディ、エバジェルド)
※3 高額療養費制度の自己負担限度額から、原則2万円を減額した額を自己負担(所得に応じて異なる。自己負担限度額が2万円未満の場合はその額)。入院食事料等は別途自己負担。
陽性者の健康相談
かかりつけ医や身近な医療機関への相談が難しい場合に備え、陽性者からの体調や症状に関する相談に看護師が24 時間体制で対応する「長野県新型コロナ健康相談センター」を設置
行政検査
・高齢者施設等において必要に応じて保健所が実施する積極的疫学調査の結果を踏まえ、接触者等に対する行政検査を継続
・感染状況に応じて、重症化リスクが高い方が多く入所する高齢者施設等における従事者等への集中的な検査を継続
ゲノム解析
変異株の発生動向を把握するため、環境保全研究所等におけるゲノム解析を継続
(2)ワクチン接種
「令和5年度の新型コロナワクチン接種の方針について(R5.3.27 市町村と合意)」に基づき、5月8日から順次重症化リスクの高い高齢者等を対象に「令和5年春開始接種」を開始(市町村の接種体制を県が支援)
市町村の接種体制構築支援
・接種が円滑に実施されるよう、警戒・対策本部地方部において各市町村の接種状況や課題を随時把握し、必要な調整、助言等を継続
・令和6年度の定期接種化を見据え、地域の実情も踏まえつつ、個別接種への移行を基本とした接種体制の整備を促進
高齢者施設等での計画的な接種体制確保
高齢者施設等に対し、入所者が早期に接種を受けられるよう、嘱託医による巡回接種や、医療機関への依頼を計画的に行うことを市町村とともに働きかけ
市町村接種会場への医療従事者派遣
市町村の接種体制を支援するため、要望に応じた医療従事者の派遣を継続
出張接種
市町村や高齢者施設等からの要望に応じて、出張接種を実施
専門的相談・診療体制の確保
・ワクチン接種に対する不安等を解消するための相談先として、「ワクチン接種相談センター」を継続
・ワクチン接種後の副反応を疑う症状に対して、接種医などの身近な医療機関からの紹介により、県が確保した専門的な医療機関を円滑に受診できる体制を継続
ワクチンの供給・配分
接種に必要なワクチンを供給・配分し、地域によって不足することのないよう全県での調整を継続
(3)高齢者施設等における感染防止対策
感染管理認定看護師等の派遣
高齢者施設等において集団感染が生じた際に、感染拡大防止対策等を講じるため、保健所による助言に加え、感染管理認定看護師等の派遣を継続
自主検査経費の補助
感染状況に応じて実施する集中的な検査や必要に応じて保健所が実施する行政検査を補完するため、高齢者施設等が従事者を対象に行う自主検査経費の補助を継続
かかりまし経費の補助
高齢者施設等における感染者発生時の応援職員の派遣や感染対策に要した経費の補助を継続
(4)学校・保育所における感染防止対策
県立学校
「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を基本として対応
・感染者の出席停止期間を、発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまでに短縮
・出席停止の対象者から、濃厚接触者、有症状者、同居家族が有症状の者を除外し、感染者等に限定
・学級閉鎖等の条件を継続(学級内の欠席者の割合概ね20%以上)
・基本的な感染対策を継続
保育所等
「保育所における感染症対策ガイドライン」を基本として対応
・感染者の登園再開の目安は、発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過していること
・開所することを前提に、基本的な感染対策を継続
(5)対策の実施体制
県対策本部
感染状況の変化等に迅速かつ的確に対応するため、要綱により知事を本部長とする警戒・対策本部を当面設置
専門家懇談会
専門的知見を踏まえた対策を進めるため、医学・公衆衛生分野に関する専門的な知識を有する者で構成する「長野県新型コロナウイルス感染症対策専門家懇談会」の開催を当面継続
(6)県民への情報提供
全県の病床のひっ迫状況
入院者数や入院者の重症度を医療機関が入力する「G-MIS※」により把握し、主に入院者数を目安とした「医療アラート」により県民と認識を共有
感染状況
定点医療機関からの届出に基づく1週間の患者数(実数)等を原則毎週水曜日に公表し県民と認識を共有
感染防止対策
個人や事業者の判断に役立てていただくため、専門家の見解等を踏まえ、基本的な感染対策として、引き続き、手洗い等の手指衛生や換気が有効であること、場面に応じてマスク着用を推奨することなど、情報提供・注意喚起を実施
※ 医療機関等情報支援システム。医療機関が入院者数や入院者の重症度を入力
3 その他
長期に渡る新型コロナ禍に加え、原油価格・物価の高騰等の影響を受ける事業者支援など「社会経済活動の活性化に向けた取組」や、失業や離職等により生活に困窮する方の住まいや就労先の確保のための相談体制の維持など「暮らしを支える取組」は、関係部局が連携して引き続き全庁的に取り組んでいくものとする。